●コロッケのトマトジュウス煮

『甘い蜜の部屋」を執筆していた頃の森茉莉のお気に入りのおかず
○コロッケのトマトジュース煮

<作り方>
①淡島通りの肉屋で揚げたてのコロッケを10個(*近所の肉屋で買っても、時間のある方は自分で作っても可)。
②このコロッケに雪印バタァをたっぷりぬって、いためるというよりは煮る要領であたため、一旦皿にとる。
③鳥のささ身のミンチと玉葱をサッといため、トマトジュースの水割り(濃さは好みで)を加えて、ソースを作る。
④③に②のコロッケをもどして、サッとあたためる。*コロッケを長く煮すぎると崩れるので注意!

このレシピについて、森茉莉はこんな風に書いている。

○「不思議に、この方法をうまくやると、昔の生家のコロッケに、上等な料理屋のトマトソオスをかけたような、贅沢な味の料理ができる」
○「このコロッケのトマトジュウス煮は私が時間のある時につくる、自家製のハンバアグのトマト煮よりも好きな位である」

私も森茉莉方式で作ってみたが、美味だった。

●パン・サンドイッチ

パン・サンドイッチ

○マリア式サンドウヰッチ・・・コッペをたて2つに切って辛子だけを薄く塗り、ジャンバン(ハム)をはさむ。

○巴里式サンドウヰッチ・・・・「麺麭の話が続くが、前回に書いた麺麭は料理屋で出したり(卓子掛けの上に転がして出すのである。英国なぞのように皿にはのせない)珈琲店なぞで横二つに割り、辛子を塗って塩漬豚を挟んで、巴里式サンドウヰッチにする、プチ・パンのことで、(日本でコッペパンと言っているもの。コッペだけでコッペという麺麭であるから、コッペパンはおかしい)微妙な味がついているのは、この方である」
*私は森茉莉さんにトアロード・デリカテッセンのサンドイッチをおごりたい気分だ。あれこそ本物の、そして大人のサンドイッチだと私は思う。

●和風料理

和風料理

○うどん・・・・・・細いうどんをざっと熱くし、お清汁より幾らか濃いお汁を熱くしたのに入れ、用意したにんにく一丁半と、大さじに軽く一杯の生人参のみじん切りを入れる。

○鯛茶・・・・・・・・鯛をお刺身のように切って、半ずりの胡麻を醤油にたくさん入れたところに漬けて、3,4時間おく。その鯛を胡麻醤油ごとご飯にかけ、熱いお湯をかける。

○柚子大根・・・・砂糖はほとんど入れない酢の物用の酢を作り、そこに薄切りの大根と柚子の皮をうすくそいだものを入れ、3、4時間おく。

○おいしいお豆腐の食べ方・・・豆腐をさっと茹でて冷まして、冷蔵庫で冷やし、あさつきの細かく刻んだものと針生姜をふりかけ、鰹節の薄く掻いたのを少しふりかける。
*森茉莉のエッセイには「八杯豆腐」という言葉がよく出てくる。どういうお豆腐のことだろうと思っていたら、「八杯に切ったお豆腐」のことのようだ。お豆腐も切り方によって味は微妙に違うらしく、森茉莉の母親は、三州味噌の味噌汁には賽の目か八杯豆腐、お清汁には奴という風に変えていたようだ。だが、森茉莉が一人暮らしを始めた頃には豆腐切り方も昔とは違っていたようで、エッセイの中で茉莉さんはこんな風に嘆いている。
「今の豆腐屋は、八杯に切って下さいといっても通じない。八杯に切る切り方を知らないのである。賽の目の方はどうにか切ってくれるが荒くって困る。昔は奴を横に包丁を入れた、薄い奴切りもあった。日本料理の味もだんだん駄目になって行く」