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枝垂れ桜
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夕暮れの枝垂れ桜と銀月の窓
気がついてみれば半年以上ぶりの更新です。
(月日の経つのは何と早いこと!)

昨日の日曜日は、銀月アパートメントの部屋を開け、ウクレレのワークショップとアトリエ・すみれ・銀月の紙もの、木工製品、修道院のお菓子をの販売を行いました。
カラリと晴れたお天気とは言えなかったのですが、枝垂れ桜の下にはカメラや携帯電話を持った多くの方が。
私は仕事の打ち合わせが入っていたので短い昨日の銀月時間でしたが、朝の枝垂れ桜と夕暮れの枝垂れ桜を楽しみました。

ウォルター・デ・ラ・メアの「過ぎ去ったすべて」という詩があります。この詩は桜を謳ったものではありませんが、銀月アパートメントの枝垂れ桜がそこに重なります。

「森はとても古いのだ。
   それから、三月の風が目覚めると
 野薔薇の枝から
   ほころび出す蕾は、
 その美とともに、実に古いのだ。
  (中略)
谷川はとても古いのだ。
   それから紺碧の空の下に
 つめたく眠る雪から
   流れ出る小川は
 来ては去った世のさまざまの
   長い歴史をうたい
 その一滴、一滴は
   ソロモン王のように賢いのだ。」

銀月アパートメントの枝垂れ桜はとても古く、その花びらの一枚、一枚は、ソロモン王のように賢いのだ……と思ってみたりするのです。

★銀月の窓辺のものや桜をモチーフにしたものなど、葉書のセットを制作しました。
 葉書いろいろ11枚セットと小さなノオトのセットです。
 1セット 756円(税込)
 ご注文は、ショッピングカート Atelier.Sumire.Gingetsu雑貨 (Click!) からどうぞ。
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葉書セット
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葉書セットの封筒と小さなノオト
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ミモザには種がいっぱいついています。
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綿毛のようなティートゥリーの花
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ドクダミの十字架に見守られながら育つトマト
数年前、小さなポットに入ったティートゥリーの苗を庭の畑に植えました。
今は背丈が一メートル以上になって、毎年梅雨の季節に綿のような白い花をつけます。一面緑が敷きつめられた中、その花が白いほのかなあかりのように咲いていて、眺めていると、ふんわり優しい気持ちに。
今日は午後遅くから雨がポツポツと降り出して、庭も、こちらの心もしっとり。さっきまで庭を飛び回っていた蜂や蝶々は姿を消して、植物たちは静かに雨を受けています。
しばし仕事を中断して、庭に出てみました。葉っぱや草花を手に受けて、その細部をよーく見てみると、美しいものや不思議なものがいっぱい。特別なところに行かなくても、高柳佐知子さんの本で見たことのある妖精の国の地図が庭には広がっていて、まるで宝探しのよう。
W・デ・ラ・メアの『妖精詩集』の詩のいくつかを思い出し、その詩を反芻しながら過ごした庭時間の中で、この世界は目に見えるものだけで出来ているのではないということを実感しました。


  「あれは魔法の笑いごえじゃないのかい?
   遠く 高い空を 馬で駆けわたる妖精たちが、
   月の枝えだの下をぬけ、
    星をちりばめた空を気ままに遠のりしているんだろ?」
     『妖精詩集』W・デ・ラ・メア 荒俣宏訳 ちくま文庫「つのぶえ」より
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フェンネルをレースの傘にして咲くラヴェンダー
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ラヴェンダーの花期もそろそろ終わり
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ツタンカーメンのエンドウマメ
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ドクダミは人を助ける十字架のかたち
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林檎がもう色づいている!
春が終わると、あっという間に季節が移ってゆきます。
仕事に追われ、しばらく庭に心が向くことなく日々を過ごすうちに、気がつけばすみれや都忘れの花の季節は終わり、庭一面が緑に埋め尽くされています。その緑の中でも、いちばん元気がいいのはフェンネル。 庭の土と相性がいいのか、こぼれ種でどんどん増え、あちこちで海藻のようにゆらゆらしています。
「ふわふわした羽のような葉、打ち上げ花火のような薄黄色の華、ほろ苦い中に甘みを秘めた香気」、熊井明子さんはフェンネルについてこんな風に書いていらっしゃいましたが、フェンネルがあると、そこは「異国情緒の漂う野」となり、「葉陰から今にも妖精が姿を現わしそうな」魔法に満ちた庭に生まれ変わります。
自由奔放に、のびのびと植物が育っている(母に言わせれば全く手入れが行き届いていない)庭は、今がいちばん輝いているように思えます。原っぱのような草一杯の風景の一角にはラヴェンダーの紫色の花が風にそよぎ、ドクダミの白い十字のような花が咲き、見上げると、ミモザの木には種を入れたサヤがクリスマス飾りのようにぶら下がり──。草も、木も、花も、ハーブも、野菜もごちゃごちゃに育っている庭ですが、その間を蜂や蝶々が飛んでいます。その様子を眺めながら、『シンプルな豊かさ 1月▸6月』(サラ・バン・ブラナック 延原泰子訳 早川書房)の中にあったバーネットの言葉を、種のようにそこに蒔いてみました。

「庭があるとき、あなたには未来があり、未来があれば、それは生きていることだ」
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ティートゥリー
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庭の忘れな草
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庭の忘れな草
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庭のりんごの木にも花が

桜の季節も終わり、緑の季節が始まりました。
忙しさに追われ、ちゃんと更新も出来ていなかったことをお詫び申し上げます。

さて、このたび、このサイトのすみれショップのショッピングカート (Click!) のシステムを変更いたします。
まず、diaryのページは基本的に私・早川が更新いたしますが、ショッピングカートにつきましては、発送・管理は別の場所にある倉庫からになり、担当も別のスタッフになります。
それに伴い、受注方式も若干変更になります。
ご注文から発送までの流れとしましては、以下のようになります。

①ショッピングカートからのご注文
     ↓
②こちらからの注文受付メールは、毎週火曜日と水曜日に行い、そのときに送料を含めた金額・振込先(ゆうちょ銀行)をご案内いたします。
     ↓
③月曜日までに振込確認が出来ましたご注文に関しましては、その週の火曜日・水曜日に発送を完了いたしますが、在庫がない商品の場合、お時間をいただく場合もございます。発送に関しましては、クロネコDM便、ネコポスにて行い、送料は100円~200円が目安となります。
ただし、移動式文庫棚、黒板本立てなど、DM便、ネコポスに対応できない商品につきましては、宅配便になります。この場合、送料は一律500円となり、差額分はこちらで負担いたします。

また、商品の詳しい内容につきましては、サイトのギャラリーにてご確認いただけるようにいたします(ギャラリーは近日中にUPいたします)。
以上につきまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。


            *             *

庭に出てみると、たんぽぽの黄色に混じって、忘れな草の青やピンクが星のように瞬いていることに気づきました。
忘れな草といえば、片山廣子さんの随筆「乾しあんず」(『燈火節』に収録)を思い出します。
「庭のごく端の方に一株の小さな小さな青い花が咲き出した」ことに気づいた片山廣子さんは、雨の日にも、日照の日にもその花をいたわって眺めるのですが、
「一面に幾株もいく本も同じ花が咲いて、芝の上の一部は朝日ゆふ日にうす青く煙つて見えた」
と書いています。
忘れな草というのは、晴れた日には星のように、雨の日にはうす青く煙って見える花なのです。
すべてのものが「青む」季節の庭の描写から始まる随筆の最後の一節の文章は宝石のように美しいので、次に書き抜いてみます。

「部屋の中には何の色もなく、ただ棚に僅かばかり並べられた本の背の色があるだけだつた。ぼたん色が一つ、黄いろと青緑と。
私は小だんすの抽斗から古い香水を出した。外国の物がもうこの国に一さい来なくなるといふ時、銀座で買つたウビガンの香水だつた。ここ数年間、麻の手巾も香水も抽斗の底の方に眠つてゐたのだが、いまそのびんの口を開けて古びたクツシヨンに振りかけた。ほのかな静かな香りがして、どの花ともいひ切れない香り、庭に消えてしまつた忘れな草の声をきくやうな、ほのぼのとした空気が部屋を包んだのである。村里(むらざと)の雨降る日も愉しい」



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移動式文庫棚
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この部屋で開催します。
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銀月アパートメントの桜

週末は雨の予報ですが、春恒例のお部屋マーケットを4月5日の午後一時位からゆるりと開催します(夕暮れまで)。
今回は、移動式文庫棚、黒板本立てなどの木工製品と、Atelier.Sumire.Gingetuの紙もの雑貨(マドゥモァゼルのためのイメージノオト、菫文学帖、かふぇのおと、ポストカード、便箋など)、修道院のおやつセットを販売予定です。お花見がてら、ふらりとお立ち寄りください。
* ただし、銀月アパートメントの住人の迷惑にならないよう、南12の部屋以外の場所への立ち入りはご遠慮くださいね。

銀月アパートメントの桜も今週末が満開の予報です。
このアパートメントとかかわりを持ってからもう10年以上になり、毎年、桜の季節が巡って来ます。自然とはそのようなものだとわかっているのですが、そのことが嬉しく、面白く、不思議で、その自然の秩序に心がなぐさめられる気がします。


      緋桜(ひざくら)

  赤くぼかした八重ざくら、
  その蔭ゆけば、ほんのりと、
  歌舞伎(かぶき)芝居に見るやうな
  江戸の明りが顔にさし、
  ひと枝折れば、むすめ気(ぎ)の、
  おもはゆながら、絃につれ、
  何か一さし舞ひたけれ。

  さてまた小雨ふりつづき、
  目を泣き脹(は)らす八重ざくら、
  その散りがたの艶めけば、
  豊國の絵にあるやうな、
  繻子の黒味の落ちついた
  昔の帯をきゆうと締め、
  身もしなやかに眺めばや。
     
       ──与謝野晶子詩篇より